植 物
グラキリス実生 <準備編> ~発芽率をあげる為にしたいこと~
2022.5.21

今や大人気の、パキポディウム グラキリス。

現地球のカッコいい姿も魅力的ですが、なかなかのいいお値段と発根管理のハードルを考えるとなかなか手を出しづらいという方も多いと思います。

そこで、今回はリーズナブルで手軽に始められる実生(みしょう)についてまとめてみました。
タイトルの通り<準備編>ということで、種の入手、とっても大事な下処理方法、私が種をまく際に必ずやる事を紹介していきます。

種からでも5年~10年もすれば立派な株にすることは可能なので、じっくり育ててお気に入りの一株にしていきましょう。

この記事でわかること
パキポディウムグラキリスの実生方法
種の入手の仕方
発芽率を上げる方法
発芽しない時、見直すべきこと

種子の入手方法

グラキリスの開花

まずは種子を手に入れないことには始まりません。
私が活用している入手方法は、主にこの2つ

  • 自家受粉
  • ネットで購入(ネットショップ、個人売買)

1はそもそも株を所持していないと不可能です。

今回は説明しませんが、今後、受粉方法も紹介していこうと思っています。
逆に1つでも開花株を持っていれば受粉は可能なので、ぜひチャレンジしたいですね

2については、それぞれ解説していきます。

ネット販売店

ネットでの購入は多少不安があるかと思いますが、私も使っている優良サイト「seed stock」を紹介します。

種子の取り扱いに特化したサイトで、輸入した種子を販売されています。
結構有名なサイトで、販売されるとすぐ売り切れてしまうのですが、こちらで購入したものは管理がいいのか、発芽率がよい気がします。

また、種子を買うとランダムに選んだ種子をオマケでプレゼントしてくれるので、そこもうれしい所ですね。

「seed stock」はこちらからアクセスできます。

個人売買

こちらはヤフオクやメルカリなどは個人から購入するやり方です。

取り扱っている物は、個人輸入や自家採取したものがあります。
しかし、こちらは少し注意が必要で、種子は発芽するまで見分けがつかないので、
違う品種が送られてきてもすぐ気づくことができません。
なので、個人からの購入する場合は実績として信頼できる方からの購入しましょう

自家採取は鮮度が良く発芽率も高い場合が多いので、自家採取をうたっている方の種子は高値で取引されるのが一般的なようです。
とはいえ、パキポディウムの種子は比較的発芽率が高いものが多いので、そこまでこだわらなくてもいい気がします。

最初のうちは、ある程度の保証や実績のある「seed stock」を利用するのをおススメします。

入手後の処理

種子の入手ができたら、蒔く前に必ず殺菌処理をしていきます。
※こちらは必ず行います。なぜなら、そのまま蒔くと高確率でカビが発生します。

やり方と理由を説明していきます。

種子の殺菌(カビ対策)

適当な容器に水をはり、そこに殺菌剤を溶かし種子を漬け込みます。
そのまま約20℃程度の部屋で12~24時間漬け込みます。
これで殺菌は完了です。

殺菌剤は「ベンレート」を使っています。
(希釈率は1500~2000倍くらい)
殺菌の際に発根促進剤を入れる方もいますが、カビの原因になる可能性もあるので私はあまり使いません。

グラキリスの種子とベンレート1500倍の水
グラキリスの種子とベンレート1500倍の水

処理が必要な理由

なぜ処理をしなければいけないかというと、糸状菌というカビの発生を未然に防ぐためです。
※糸状菌は、白い糸のような物が種子から放射状に伸びるのが特徴です。
(初見だと根っこだと思いがちですが、パキポディウムの根は結構太い)

カビた種子は高確率で発芽しませんし、他の種子にも移るので早めに取り除きましょう。
取り除いた後は、殺菌剤を溶かした水を霧吹きなどで再度殺菌をしておきましょう。
(カビは一度発生すると再度発生する場合が多いので、殺菌は2、3日続ける)

用土の準備

殺菌が完了する少し前から、用土の準備をしていきます。
私は赤玉土100%の苗床を使用しています。
ある程度根が潜ったら植え替えるので、あくまでカビ防止のための環境です。

殺菌された新品の目の細かい用土を準備します。
殺菌する理由は先ほどと同じく、種を菌にさらすことなく無事に発芽させるためです。

熱湯を土の上からかけ、全体が浸透するように。
底から水が出るのを何回か繰り返し、用土の殺菌をしていきます。
※底から出るお湯も熱いので、やけどに十分に注意しましょう!

その後、用土が冷めたら種子を殺菌液から出し、土の上に一定間隔で並べます。
パキポディウムは好光性種子なので土を被せずそのままで大丈夫です。

環境づくり

種を並べたら、複数個所穴をあけたラップで上部を包み、腰水(こしみず)で管理していきます。

※発芽には高い湿度が必要です。
腰水をしラップをすることで、湿度を保ち発芽後のまだ弱い株を乾燥から守ることもできます。

※腰水は水が腐らないよう、1日ごとに入れ替えます。
「ミリオン」などの珪酸塩白土を少量入れることで、水替え頻度を減らすこともできます。
(それでも2日1回は変えたい)

発芽まで

種子にはそれぞれ発芽に適した温度があります。
グラキリスの場合、20℃~25℃と言われており、それ以下だと発芽は難しいようです。

発芽にはある程度の寒暖差も必要だと思っているので、一定の温度というよりは上記の温度間でリズムを持たせてあげると発芽しやすいと思います。

約3~7日くらいで発芽しますが、1週間を過ぎても出ない場合は環境を見直しましょう。
(温度や湿度、寒暖差をつけてみる等)

しばらく発芽しなくても、種子がぶよぶよになっていないのなら管理を続けます。
ムレなどでダメになった種子は押すと柔らかくなっています。カビが発生する前に、見つけたらすぐに破棄しましょう。

2週間後に発芽したこともあるので、根気強く管理しましょう。

まとめ

今回は発芽までの準備を紹介しました。

パキポディウムに限らず、基本的に実生はカビとムレとの闘いです。

状況によって発芽しないことも多いので、前準備、前知識をしっかりして取り組みたいですね。
試行錯誤して発芽した株ほど愛おしいものはありません。

次回は発芽から植替えまでを紹介します。

ぜひ、実生ライフを楽しんでくださいね!

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